ばらの育て方

数年前、庭中を覆っていた蔓ばらの木が枯れました。

庭といっても、私道に植えたばらの木がフェンスを越え、宙をまたいで窓の下やアーチへとしなやかな枝を伸ばしていたのです。
濃い緑色の照り葉が陽の当たる家の壁の全面を覆っていました。

この木はアルベリック・バルビエといってばらの原種に近く、匍匐性の這うような性質の枝は上へ下へと伸びて、半地下の階段のコンクリートにまで細い枝がたくさん垂れ下がっていたものです。

五月になれば
朝方に雪の山のようなたくさんの白い花をつけた光景が、本当に、夢のようでした。
でも、家の狭いエントランスには、少し、樹勢が強過ぎたんですね。

毎年新しく伸びてくる枝が玄関のドアの開閉を邪魔するようになり、枝を払いのけ払いのけして階段を上り下りしていました。
剪定をすれば・・・と言われると思いますが、生き物のような植物の力強い生命力に怯えたことはあるでしょうか?

『随分と手入れをしているのでしょう!!?』と、よく言われたのですが、記憶にあるのは、日当たりのよい南側の私道に腹ばいになって深い穴を掘って植えたことくらい・・・水と肥料は最低限・・・『原種は丈夫なので、手入れはそんなに必要ないのです。』
そう言っても、『またまたァ・・・』と疑われる始末。

思うに・・・ばらの育て方で最も重要なのは、植える場所と、それにふさわしい種類〔樹形〕の選定ですね。

アルベリック・バルビエは、低いフェンス、アーチ、地下への階段、家の壁といったすべての条件にマッチしていて、私が夢見ていたちょっとした空中庭園を構築するのにぴったりでした。その時にはまだ何も知らなかったのですが・・・。

今年の五月も、家の庭にはアルベリック・バルビエの可愛い花が咲きました・・・今度の樹はもともとか弱いのか、あまり大きくはなりません。

この位がちょうどよいのでしょうね。
でも思うのは、あの以前に植えていた樹の持っていた畏れをなす程の生命力が、今、とても懐かしいです。